実践家が身に付けるべき究極のレシピ

老舗菓子店のオーナーである受講者さんから大切な事を教えてもらった。

Hさん
受講者さん

本業においては、試行錯誤して、何度も試作を繰り返した商品が今の収益を支えてくれています。

売上が厳しい月もやっぱり助けてくれるのは、何度も何度も試行錯誤して作り上げた商品です。
トレードに限らず、すべてにおいてそうかも知れませんね。

私の仕事も、自分で苦労して作りあげたレシピは簡単には教えませんし、仮に教えたとしても作る工程においても火加減など様々な要因が時によって異なるので同じ商品はすぐには再現できないと思います。

トレードに関しても同じなのに、まだまだ考えが甘く、軸となるルールをしっかりと自分で作り上げなければ収益にはつながらないのは当然です。私なりに努力はしているのですが、まだまだということです。

しかし、信念は揺るがないので、前に進みます。

私どもでは受講者さんに報告などを強要することは一切していません。

どこかのサイトのようにお客さんの声を作文することもありませんし、お金を払って書いてもらうこともしていません。また、仲間内で儲かった声を書き合うなんてことも一切ありません。名前出しや顔写真入りで、「何千万稼げるようになりました」とか、リスクを晒して儲かった自慢など不自然極まりないことですし、私どもでは一切行いません。


こだわりの職人の世界とは、こういう事を言うのだろう。

一般の我々にとっては到底知り得ない、もがき苦しんだ戦いの末に完成した究極のレシピがあり、それが自慢のものづくりの軸となり、その日の気温や湿度などの環境に合わせた、微調整を繰り返しながら客に提供される。



それがエッジとして効いてるんだろうと思う。


NHKプロフェッショナル仕事の流儀での「すきやばし次郎」の小野二郎氏の一説を思い出した。

昔ながらの羽釜で炊き上げたシャリ。
選び抜かれた天然物のネタ。
それが二郎の手で、極上の鮨になる。
握りはわずか四手。
シャリが口の中でハラハラとほどける。
ふんわりとした鮨を生むその握りは、人呼んで「二郎握り」。

秘密は力加減にある。
シャリの外側の米三列だけを固め、中心には隙間が出来るようにする。さらに、ネタの温度や握る順番にも細かな配慮がされている。

一日に握る鮨は500貫以上。二郎は、ただひたむきに鮨と向き合い、どうすればさらにおいしくなるか、そればかりを考えている。

「まだ何かあるんじゃないかと考えることが一つの進歩だと思うし、自分はこの仕事を好きだから、それを考えられるのではないかと思うんです。本当に自分の仕事に惚れ込んで、とことん突っ込んでいかないと、いい仕事はできないと思いますよ」

鮨職人になって56年。
この時82歳、ミシュラン三つ星。


トレーダーだって同じじゃないのか?

マニュアルが大事のコピー人間では、相場の世界では勝てない。
少し勉強する者が当たり前に知ってる程度のことを無批判に知識にしたところで意味がない。

我々が目指すのは、脳味噌から汗が吹き出るくらいチャートと向き合い思考を深め、散々悩んで維持管理の軸に育て上げていくこと。
身を削りあらゆる可能性を試し、不格好でも自分の目でチャートを捉え自分の頭で考える経験を持つ者こそが強い。




人間の意思決定は感情が引き起こしている。

だからこそ、チャートを通じて他者への想像力を磨く事は、トレードの維持管理に極めて重要になってくる。

やがて、それぞれの息遣い、熱量、恐怖に怯え血の気が引く様までがチャート越しに感じられるようになる。
この差こそが、決定的なエッジとして最後にものを言う。


我々はそこを目指す。
だから勝てるようになれる。