ホルダー(すでにその株を買って持っている人)の心理。
買い方(これから買おうとする人、もしくは、今買った人)の心理。
両者の綱引きが行われていて、その力関係はローソク足の組み合わせで表現されます。このバランスが崩れる時こそが、上昇、下落の転換点になります。
< 結論 >
「三空」は、一時的な戻し、一時的な押しになるケースが多い。
空(窓)が何日も埋まらない場合には、新たなトレンドの始まりとして、チャート上重要なポイントとなる可能性になることもあるので、チャートの背景をよく知っておくことが大事になってきます。それでは、「三空」の意味する市場参加者の心理を丁寧に読み解いてまいりましょう。
三空とは
「三空」とは、ローソク足とローソク足の間に空間ができる形。これを「空」または「窓」と呼びますが、これが3回連続で出現するパターンを酒田五法では「三空」といいます。三回も連続して空(窓)を明けながら、中間の価格帯を飛ばして取引が行われたわけですから相場の勢いが非常に強い事を示すとされていますが、一時的な戻しや、一時的な押しとなる場合も多く、相場参加者の心理など考慮しよくチャート分析しなければなりません。
三空叩き込みとは
「三空」が長い下落相場の後に出現した場合、酒田五法では「三空叩き込みに買い向かえ」と言われ、買い場となる可能性を示すとされます。
市場参加者の心理状態を読み解くと、想像を超える悪い決算が発表されたなど、悪材料が出たことから投げ売り状態になっています。ここまで保有し続けていたホルダーは、下落により設定していたストップにかかったり、含み損の拡大から投げ売るなど手仕舞いに動きます。
2つ目、3つ目の空(窓)を開けた下落は、少し遅れて手仕舞いに動いた人の軌跡で、この時の状態は、
買いの勢い << 売りの勢い
であって、買いたい人より売りたい人が多いことになります。
売りが売りを呼び見切り売りが続発しますが、3つも空(窓)をあけた頃には、手仕舞い売りをしたい人はすでに売り逃げています。そこで逆張り派の「そろそろ底で反転上昇するだろう」「売られ過ぎているので買ってみよう」という動きが入ってくることになるわけです。
すると、
買いの勢い << 売りの勢い
の状態から、
買いの勢い > 売りの勢い
と力関係が変わって買い優勢となり上昇転換することになります。
が、しかし・・・
「三空叩き込みは買い向かえ」と言いますが、実際には一時的な戻しで、再び下落が始まるケースの方が多い。以下にその事例を示します。
三空叩き込みチャート事例
2018年の末に株価は急落し、酒田五法で言う所の「三空叩き込みに買い向かえ」が当てはまっているが下げ止まり、1000円の心理的節目で12/25が底値となる。しかし、一時的な戻しで終わり再び株価は下げていった。ただ、3月に入って北朝鮮リスクの増大から、防衛関連銘柄の代表格である石川製作所が買われ急上昇した。
パナソニックでも、三空叩き込みの後反発。しかし、これも一時的な反発で終わり、1,100円の下落前の水準まで戻した後再び下落。結果、一時的な戻しで終わった形。
2018年10月に三空叩き込みになったが、一時的な戻しで終わり再び株価は下落。
2019年5月に2回目の三空叩き込みが出現するも一時的な戻しに終わり、再び下落。
三空踏み上げとは
上昇相場の途中で陽線のローソク足が4本連続し、三空が出現した場合を「三空踏み上げ」と言います。
市場は強気ムードで買いが殺到した事から現れたローソク足の組み合わせで天井打ちを暗示します。酒田五法では「三空踏み上げに売り向かえ」と言われ、極めて強い売りのサインとされています。
一気に買いが入り、
買いの勢い >> 売りの勢い
であり、買いの勢いが勝っていたからこそ、3度の窓明け上昇になるわけです。しかし、3度も窓を明けるほど株価が上昇すれば、買い方は高値掴みを警戒しはじめるので買いの勢いが弱り、高値付近では
買いの勢い ≒ 売りの勢い
の状態になります。やがて、短期の利益狙いの買い方が手仕舞いに動き、
買いの勢い < 売りの勢い
と、売りの勢いが増し株価は下落することになります。これが三空踏み上げの背景です。
が、しかし・・・
「三空踏み上げは売り向かえ」と言いますが、実際には一時的な押しで、再び上昇が始まるケースの方が多い。以下にその事例を示します。
三空踏み上げ事例
5連騰で窓を明け急上昇から、一時的な押しで終わったケース。三空踏み上げの急騰でホルダーの一部手仕舞い売りが出たのと、買い方の高値掴みを警戒する買い控えで、
買いの勢い < 売りの勢い
となり、一時的に株価は下落。しかし、長期トレンドは続いており25日移動平均線に支えられる形で上昇トレンド継続になった。一時的な下落がちょうどいい買い意欲を誘ったケース。
最初の「三空踏み上げ」は、6回窓明け急騰後下落し一時的な押しとなった。次の「三空踏み上げ」は4回窓明け急騰後、包み足(最後の抱き線)となり、反転下落。
三空踏み上げにならなかった事例
3回どころか、5〜6回窓を明けながら株価は上昇するも、さらに上昇をしたケース。
このことからも、「三空」だからと言って売ることはよろしくない。他の指標や、相場参加者の心理などよく照らし合わせて考察することが必要。