ローソク足の組み合わせは、ローソク足単体で見るより市場参加者の心理を詳細に読み取ることが出来ます。
- ホルダー(すでにその株を買って持っている人)の心理。
- 買い方(これから買おうとする人、もしくは、今買った人)の心理。
両者の綱引きが行われていて、その力関係はローソク足の組み合わせで表現されます。このバランスが崩れる時こそが、上昇、下落の転換点になります。 結論
「はらみ線」は、相場の流れが変わる前兆とみます。
「はらみ線」とは、前日の値幅以内で動きそれまでの売り方、買い方が小幅な動きの中でせめぎ合っているローソク足の組み合わせ。一本目の大きな動きを母体として、2本目の小幅なローソク足を「はらんだお腹の子」と見立てた呼び方が「はらみ線」と呼びます。相場の流れが変わる前兆と見ます。
「はらみ線」のまたの名を「はらみ足」ともいいます。
底値圏で出現した「陰の陽はらみ」その時の相場参加者の心理
株価の下落途中、底値圏で大陰線が表れる場合、いわゆるセリングクライマックスが起こります。ホルダーの投げ売り状態であることが想像つきます。次に、大陰線にはらんだ形で陽線が出現した場合を「陰の陽はらみ」と呼びます。
売り物が出つくした状態で、買い方の勢力が若干上回っている様子です。陽はらみが寄引同時線でも同様の兆候を伺うことができます。寄引同時線であったり陽線の実体の短いローソク足であれば、エネルギーがそこに集中していることを意味します。そして、何かのきっかけが生じれば、上昇トレンドへ転換していく形となります。
1本目で株価が下落するということは、買い持ちしているホルダーの失望売りが出ており、
買いの勢い < 売りの勢い
の状態で、買われるだけの要因がないために買いに動くことはしません。
2本目、好決算など好条件が発表されたことで、買いに動き陽線が出ることになったと考えられます。そのため、
買いの勢い > 売りの勢い
の状態に変わり、上昇トレンド転換期待となります。特に安値圏では、買い持ちしているホルダーの手仕舞い売りがほぼ出尽くしているので、買いのエネルギーによって反転上昇することになります。
陰の陽はらみ 上昇転換事例
コロナショックの余波を受け急落後、最終的に大陰線が出現。ホルダーの最終的な投げ売りとわかる。1000円の心理的節目が直前に迫っているということもあり、買い方は買いに動き陽線が出た。
これはローソク足の組み合わせでいう「陰の陽はらみ」。
急落時点では、
買いの勢い < 売りの勢い
で売りが優勢。
一方、大陰線の翌日陽線が出たことは、
買いの勢い > 売りの勢い
となり、買いが優勢となる。
ホルダーの投げ売りがほぼ出尽くし、買われ始め上昇転換の兆しがうかがえる場面。
高値圏の「陽はらみ線」その時の相場参加者の心理
株価の上昇途中、大陽線は買いが勢いづいている状態。1本目、安く始まり買い方の勢いが落ち着いたことが想像できます。
2本目のローソク足は陽線でも、陰線でも構いませんが、安く寄り付き1本目の始値を下回らないので「はらみ線」の形になります。
1本目の大陽線のローソク足は、
買いの勢い > 売りの勢い
の状態で、買いのエネルーギーが強いことの現れです。
当日、高値圏ということもあり、買いのエネルーギは弱り「陽のはらみ線」になったと考えられます。
そのため、やや
買いの勢い =< 売りの勢い
の状態に変わり買いが落ち着いたことになります。
高値圏の陽の陰はらみ線 下落転換事例
窓明け急騰。下ヒゲの長い陽の大引け坊主が出現。なんらかの材料が出て買い方の勢いが優勢となるとともに、ホルダーは売らない状態。
窓明けと陽の大引け坊主は、
買いの勢い >> 売りの勢い
という状態。
しかし、株価が上昇するとともに高値掴みを恐れる買い方は、次第に買い控えることになる。同時に、ホルダーの利食い売りも出始め、ある時売りが買いの勢いを上回ることになる。
買いの勢い < 売りの勢い
という状態。
この状態が「陽の陰はらみ線」。