
ローソク足の組み合わせは、ローソク足単体で見るより市場参加者の心理を詳細に読み取ることが出来ます。
- ホルダー(すでにその株を買って持っている人)の心理。
- 買い方(これから買おうとする人、もしくは、今買った人)の心理。
両者の綱引きが行われていて、その力関係はローソク足の組み合わせで表現されます。このバランスが崩れる時こそが、上昇、下落の転換点になります。
結論
「毛抜き天井・毛抜き底」は、トレンド転換を示唆するサインとなります。
毛抜き天井、毛抜き底の相場参加者の心理を、チャートを用いて詳しく解説します。「なぜ、高値もしくは安値が揃うのか?」と、相場参加者の心理や行動、思惑に至るメカニズムまで踏み込んで分析していきます。毛抜き天井、毛抜き底の成り立ちが理解でき株売買ルールの構築に役立ちます。
毛抜き天井とは
「毛抜き天井」とは、1本目の陽線(大陽線)の後2本目のローソク足の高値が揃い、1本目の高値を越えられなかった形を言います。
高値が揃うことが基本とされていますが必ずしもピタリと揃う必要はなく、その背景にある相場参加者の心理にどう影響しているかをイメージし、売買の基準にすることが重要です。

2本目が1本目の高値を越えられなかったのは、高値警戒感からホルダーの手仕舞い売りが出始めると同時に買い方が1本目で限界に近いと考えて買い意欲が弱まっているからです。
「毛抜き天井」は高値圏に出るので、それまでに買っているホルダーは、2本目が高値を越えなかったことで、
買いの勢い ≒ 売りの勢い もしくは、 買いの勢い < 売りの勢い
と考えて、含み益を失う前に売りに動き始めることで上昇トレンドであった
買いの勢い > 売りの勢い から 買いの勢い < 売りの勢い
と、売り買いの力関係が逆転したことがローソク足の組み合わせからわかります。
カウンタートレードもしくは、スイングトレードや一般的なトレンドフォローでは売りサインと判断して手仕舞いに動く場面です。
しかし、超トレンドフォローの場合は目先利益優先のホルダーが手仕舞いしたに過ぎず、一時的な押し、もしくは、上昇トレンド継続に必要な調整となる場合が多く、慌てて手仕舞いすることは得策ではありません。「毛抜き天井」は単なる調整に入っている可能性が高く、含み益を抱えるポジションの維持管理に意識を向け、下落のリスクを警戒しながらさらなる上昇に備えるべき場面です。
毛抜き天井 チャート事例

前回高値が2019年4月に1,550円辺りに存在し、意識され「毛抜き天井」となって反転下落しました。
2020年12月から強い上昇トレンドになり、44%以上上昇したことで高値警戒感が出ていたものと思われます。1本目の大陽線は低く寄付き最後の買い上がりでほぼ高値で引けた状態。翌日前日終値とほぼ同じ水準で寄付き大陰線で引けた。
高値がほぼ揃っていることから「毛抜き天井」となりました。これ以上の高値更新が難しいと見たホルダーの手仕舞い売りが出たと考えられます。
しかし、この時も1,430円あたりの-12%の押しで終わり、再上昇するにはちょうどいい調整で終わり、この後4月にかけてさらに+13.5%株価は上昇しています。
先に説明した通り、一般的なトレンドフォローでは「毛抜き天井」で手仕舞いしていいケース。
しかし、超トレンドフォロアーの場合は目先利益優先のホルダーが手仕舞いした段階に過ぎず、上昇トレンド継続に必要な調整なので、手仕舞いするのではなくトレンドに乗り続けるための維持管理に徹したほうが良いでしょう。

1本目の陽線の前日までに何らかのファンダメンタルズ的要因で株価が急騰してきた。陽の丸坊主(僅かの下ヒゲあり)の出現で、その勢いもピーク状態となり、さらに窓を開け寄り付き1本目の陽線が現れた状態。
これまでの最高値ということや陽の丸坊主の出現、窓開け上昇で寄り付いたことや一気に買い上がったことから、ホルダーの一部が手仕舞い売りに動き、同時に買い方の買い控えから2本目は陰線となり1本目の高値に並んだことから「毛抜き天井」となった。
このとき、
買いの勢い ≒ 売りの勢い
から
買いの勢い < 売りの勢い
に変わりつつある。さらに3本目も高値をほぼ揃えた形で陰線が出現。明らかに、
買いの勢い < 売りの勢い
であったことから、陰の大引け坊主となり、株価の急落を招くことになった。高値が3本揃う珍しいケース。
「毛抜き天井」の1本目の陽線が短いパターンですが、その前日の陽の丸坊主と合わせて考えると大陽線となり明らかな「毛抜き天井」と言っていいでしょう。
- 次の記事を読むことで「毛抜き天井」がより理解できます -
毛抜き天井なので強いサインとは言えないが、以上のメカニズムをイメージできれば、手仕舞いしなくとも、警戒はできたはず。ここがポイントの2つ目。毛抜き天井だぜ…
毛抜き底とは
「毛抜き底」とは、1本目の陰線(大陰線)の後2本目のローソク足の安値が揃い、1本目の安値を下回らなかった形を言います。
安値が揃うことが基本とされていますが必ずしもピタリと揃う必要はなく、その背景にある相場参加者の心理にどう影響しているかをイメージし、売買の基準にすることが重要です。

長く下落が続き、大陰線が現れたとき、その翌日の安値が1本目の安値を下回ることなく同じ安値で終わったのは、いよいよ底値がきたと判断しているからです。
「毛抜き底」は安値圏に出るので、ホルダーの投げ売りがほぼ出尽くしたことが大陰線に現れています。
2本目が1本目の安値を下回らなかったことで、
買いの勢い ≒ 売りの勢い もしくは、 買いの勢い > 売りの勢い
と考えて、ホルダーの投げ売りも終わり買い方が少しずつ買いに動いている証拠と言えます。
長い下落では、ホルダーの手仕舞い売り、買い方の買い控えで、
買いの勢い < 売りの勢い
という状態であった。その後、
買いの勢い > 売りの勢い
と、売り買いの力関係が逆転したことがローソク足の組み合わせからわかります。
「毛抜き底」は一般的に買いサインと判断して買いに動く場面です。
しかし、ホルダーの投げ売りがすべて終了したとは言い切れず、買いが入り株価が上昇してくると、逃げ遅れたホルダーの「やれやれ売り」が出て再び下落転換する可能性もあります。
毛抜き底 チャート事例

三空叩き込みからホルダーの投げ売り状態がわかる。最後下ヒゲの大陰線となり、ホルダーの手仕舞い売りがほぼ落ち着いた状態。2本目の陽線の安値が揃い「毛抜き底」となった。
1本目の下ヒゲ陰線まではあきらかな
買いの勢い < 売りの勢い
の状態。
下ヒゲの先っちょ部分からやや買い上がり、大底から少し戻して引けたことから、投げ売り状態が終わったことがわかる。
ついで2本目の陽線も1本目の安値を下回ることなく株価が上昇したことで「毛抜き底」になり、
買いの勢い > 売りの勢い
に転換したと判断できる場面。
ここからやや株価は戻し、三空叩き込み前の水準(前回高値)が意識され、ホルダーの売りが勝り株価は下落転換することになった。
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