心を知ればチャートが読めるようになる
ポイント

強いトレーダーになるためには、心が大きく影響する事を知っておかなければなりません。

今回は、「直近偏向」という心理的バイアスの影響について考察します。

直近偏向について

直近偏向とは、より新しいデータと経験に重きを置く傾向をいう。きのうの取引は先週の、あるいは去年の取引より重視される。2カ月続いた負けトレードは、その前に6カ月続いた勝ちトレードと同等か、それ以上の重みがあると見なされる。つまりたいていのトレーダーは、最近行なった一連の取引の結果を見て、自分の手法や意思決定プロセスに疑念を抱くようになる。

出典:タートル流投資の魔術

この事は、少し投資をかじったことのある人なら知識として知っているはずです。また、うちの受講者さんであれば再三言っているので心理的影響については熟知していて欲しいところ。

でも、知っている事と実際の場面でできる事は全く別物という事が、Fさんの検証報告から読み取る事ができます。

124万円を稼げる可能性があったのに、もったいないと思いませんか?

Fさん
受講者さん

上昇トレンドに乗る(乗り続ける)ために、損切りにあってもトレンドが続いていれば再エントリーをする。実際には、仕掛けて損切りになると、ためらってなかなか出来ませんでした。また、損切りに合うのではと思ってしまうと同時に、ここから仕掛けても遅いのでは?と思うからです。

これまでの三角保ち合い上放れ、25日MA基準、GUエントリーの検証において損切りとなった銘柄の監視を続け、再エントリーをした場合の結果がどうなるか見てみる。
 

◆結果

思った以上に利益になりました。中には30%以上になった銘柄もありました。
上昇トレンドが続いている銘柄(高値更新している銘柄)には、損切りにあっても 再度サインが出たらためらわずに仕掛けていく。1度目のサインでエントリーが出来なくても、次にサインが出たら仕掛けても遅いということはないとも言えると思いました。

私どもでは受講者さんに報告などを強要することは一切していません。

どこかのサイトのようにお客さんの声を作文することもありませんし、お金を払って書いてもらうこともしていません。また、仲間内で儲かった声を書き合うなんてことも一切ありません。名前出しや顔写真入りで、「何千万稼げるようになりました」とか、リスクを晒して儲かった自慢など不自然極まりないことですし、私どもでは一切行いません。

実践投資アドバイザー2

損切りにあっても 再度サインが出たらためらわずに仕掛けていく。1度目のサインでエントリーが出来なくても、次にサインが出たら仕掛けても遅いということはないとも言えると思いました。

と、直近に得られた結果に影響を受けてしまう事と、その後の検証報告をしてくださいました。

実は、このことはチャートノックの規定課題でやってもらっています。損切りになったとしても、エントリールールに合致しているなら仕掛け続ける課題を設定して、やってもらいました。

つまり、チャートノックをこなしたFさんは、再エントリーすべきと知っていると言うことになります。やったのに忘れてしまっているとも言えます。

人間ですから、一回損切りになったら次もまた失敗するんじゃないかという感情が働くことは自然な流れです。これが直近偏向です。

私は生牡蠣を絶対に食べません。広島生まれなのに、生牡蠣は大嫌いです。

ある時期までは、普通に食べていました。どちらかというと、割と身近にあるものでした。一斗缶で買ってきた牡蠣でBBQをやった時です。お酒も入っていたこともあり調子に乗ってバクバク食べていました。

するとその晩、見事に大当たりです。

救急車で運ばれてもおかしくないぐらいの腹痛と嘔吐と全身の倦怠感。トイレに行くにも、這いつくばって行かなければならないほど。その時ばかりは死ぬかと思いました。それ以来30年間、生牡蠣は一切口にしていません。

たまたまその時に火が通ってない牡蠣を口にした事が原因であって、同じような事が続いて起きない可能性の方が高いことは理解できます。でも、死にそうな経験が記憶されていて、生命の危険を避けるようにするのが人間の生存本能なのでしょう。食べようとは思いませんし、人が食べるところを見て「やめといた方がいいんじゃない」と思うほど。

牡蠣なら食べなくてもどうってことはありませんが、トレードなら話は違います。再エントリーの恐怖から逃げているようでは、口座残高を増やすことにはつながらないどころか、むしろ不利になります。

Fさんの検証報告では、LCになった後再エントリーしていれば124万円の利益を得られていたことになります。つまり、直近偏向の影響により、124万円を損したということです。

実践投資アドバイザー2

124万円を稼げる可能性があったのに、もったいないと思いませんか?

1回目のエントリーでは、強いチャートを描いていると判断したからこそエントリーしているはずです。その後たまたま深い押しでLCになったとしても、強いチャートである可能性は否定されていません。

強いチャートは押しません。例え押したとしてもしれているんです。

という事は、直近偏向の影響によって強い可能性の残るチャートを避けてしまったことで、利益になる機会を逃したということです。強いチャートを避けて、あまり強くないチャートを選んで仕掛けても儲かるわけがありませんね。それが124万円を取り損ねた原因です。

自分自身のチャート分析に自信を持ってエントリーできていれば、得られていた124万円です。今回、強いチャートなら再エントリーに躊躇する必要がない事を124万円の授業料を払って学べた事になります。

そして受講者さんであれば、今回Fさんの学びをシェアさせてもらった事で、自分が代償を支払う事なく学べたわけです。これが大事なんです。

なぜ大事か?

自分が経験できることなど、高々知れているから。
Fさんの経験を我が事のように疑似体験することで、直近偏向による影響を避けることだってできるようになれます。と言うか、無意識で心に影響される事を今回気付かせてもらった事になります。

人の経験を我が事のように学ぶことです。そうやって数多くの経験値を積み上げていくんです。

今回は直近偏向でしたが、心がトレードに大きく影響する事を知ってください。この事を知っているか、知らないかで大きく収益が変わってきます。

単なる願望で終わらせてはプロとは言えない

続いて、「再度サインが出たらためらわずに仕掛けていく」と結論付けたわけですが、これで終わったらアマチュアのやることです。プロではありません。

また、心による影響を忘れたころ、同じ事を繰り返す可能性が高いです。

なぜか?

実践投資アドバイザー2

「〜〜できるようになりたいです」と、単なる願望で終わってしまっているからです。
人間には生存本能が備わっていて無意識に危険を避けます。いつかまた直近偏向に影響を受ける時が必ずきます。

こう言う場合は、プロであり実践家であるなら具体的対策が必要です。

大事なことなのでもう一度言います。
同じミスを繰り返さないために必要なのは具体的対策です。

その方法は、再エントリーの際、心の影響がないよう、チェックリストを作成する事です。

- 次の記事を読むことでチェックリストの重要性がわかります -

チェック項目として、例えば次のようなものになるはずです。

  • 一回のエントリーは前回の結果と無関係。ルールに合致したなら直近偏向に惑わされず、仕掛ける

という項目を設けて、チャート分析の際に常に確認する事で同じミスを防ぐ事ができます。

人間は目の前の作業に追われると、大事なことでもつい忘れることがあります。

出かける時にチェックが甘かったら、財布を忘れたりスマホを忘れたり、うっかりミスをすることは誰にでもあることです。財布を忘れたことを、食事をした後に気付いたらゾッとすると思いますが、それでも打つ手はありますからなんとかなります。だから、出かける時のチェックリストを作成している人はいないでしょう。

でも、トレードだとどうでしょう。

直近偏向の影響を忘れて強いチャートを今回のように避けてしまったら、今回のFさんの検証では124万円を損するという事になってしまったわけです。

だからこそ、チェックリストに項目を追加して、常に確認する必要があるのです。
これが実践家でありプロの仕事です。

なぜ、押すのか

続いて考えてみたいのは、「なぜ、押すのか」。
強いチャートと思ってエントリーしたのに押す場面は少なくありません。

単純に考えれば、買いたいと思う人の勢いが続かなかったから。そして、売りたいと思った人の勢いが強かったから。

買い << 売り

の状態だったからです。

ホルダーの利食い売りがたまたまたくさん出たタイミングだったということもあるでしょう。ファンダメンタル的要因が影響したかもしれません。

でも、こんなケースもあるんですよ。

仕掛け筋の売り逃げ。

市場に参加する人は、個人投資家ばかりではありませんね。大きなポジションを運用するファンドやクジラと呼ばれる年金や保険の預かり金を運用する者もいます。場合によっては日銀の介入があるかもしれません。

では、大きなポジションを運用する者は利益にするために何を考えているか?

利益にするには、自分の買った株を誰かに買ってもらわないといけません。
しかも、大量に。

もし、株価上昇の勢いが弱くなったとき・・・つまり、買いの勢いが衰えた時、大量に売ればそれだけで株価が大きく下げてしまいますね。すると、買いの勢いがあるうちに売ってしまおうとするわけです。

言い方を変えれば、大量に売りつける相手がいるうちに手仕舞ってしまうということ。
4/21の3632グリーのような感じ。

大口の動きは読めません。
もし、「大口がこんなことをしそう」とか、「まとまった買いがどこそこに入る」とか言ってあれを買えとか、これを売れとか言ってる奴がいたら、そいつは詐欺師です。

大口も儲けなければいけませんから、機密情報を事前に漏らすはずがありません。自分が得られる利益を自分以外に分配することと同じで、運用会社からすると背任行為で責任を問われることになるでしょう。

だからこそ、受講者の皆さんには自分でチャートを読み解く力を養っていかないといけないのです。いつまでも、どこかの銘柄配信サービスを利用したり、掲示板の噂を当てにしているようでは、相場の餌で終わることになるんです。

誰かが、何のメリットもないのに儲けさせてくれる情報を教えてくれるはずがないじゃないですか。
「10倍株の情報を教えます」とか、「急騰株情報を無料配信します」とか、発信者側の有利になる意図があるんですよ。

罠が仕掛けられているんです。

その罠とは、

- 次の記事を読むことで「罠」がわかります -

このピラミッド構造を以前解説しました。
無料配信しますとかいっても、詐欺師が儲けられるように罠が仕掛けられていることをいい加減気づいてください。このやり方を情報弱者ビジネスと言って奴らは荒稼ぎしています。暴力団のフロント企業がやっていたり、知識だけは豊富な金融屋崩れの連中がやってるんです。

罠にかかるのは、自分のチャート読解力を磨く事なく、世に出回る情報を当てにした情報弱者です。

チャート分析力を磨いてください。

チャート分析力を磨いてください。
直近偏向など心がトレードに影響することをたくさん経験してください。

Fさんのように、気になることは統計検証を実行し、実際はどうなるを自分で確かめてください。

推奨する参考図書をAkさんやMさんのように何度も何度も読み返してください。何度もです。すると経験値が上がっていくとともに、最初何をいっているかわからなかった内容が理解できるようになります。そのうち、本文に直接書いていない行間までも読めるようになるのです。

住川まで週次報告をどんどんしてください。月次報告をしてください。その際、何を思ったか?何を感じたかまで言ってください。綺麗な報告も、儲かった報告も自慢げな報告もいりません。ありのままを語ってもらったら、その中に問題解決のヒントが必ずあるんです。

当てにならない詐欺師の情報や、どこかのカリスマの技術や難しいテクニカルなど一切必要ありません。金融屋崩れの知識も当てにしてはいけません。

当てにしていいのは、自分のチャート読解力です。実践投資家としてのスキルです。
近道をしたところで、一生物のスキルなど身につくはずがありません。

やるべきことをやった先にしか、一生物のスキルは身につきません。