投資の世界には、すぐにわかるものと、すぐわからないものの2種類がある。すぐわからないものは、時間を掛けて少しずつわかってくる。投資教育を始めて14年。そういうことだったのか!
投資の真髄:基礎こそが全て
投資の旅路は、多くの人が同じような段階を経ていく。その道のりを振り返ると、驚くべき事実に気づかされる。
第1段階:宝探しの幻想
誰もが最初は「上がる株を見つければ儲かる」と信じている。株雑誌、証券会社、NETでもyoutube動画でも、あれが上がる、これが上がる。あれが2倍になる。これは10倍。バフェットが買った。ジム・ロジャースも買った。半導体が有望。AI関連が上がると、情報の洪水に惑わされ、まるで宝探しのように「当たり株」を追い求めるトレジャーハンター(宝探し)と化す。しかし、やがて気づくことになる。「儲かんねーじゃねーか」。予想が当たることと利益を出すことは、全く別の次元だということに賢い者は気付き始めることになる。
第2段階:手法への執着
次に多くの人が陥るのは、「正しい手法さえあれば」という考え方だ。投資本やネット情報を渉猟し、買いのタイミング、売りのタイミングを探り続ける。移動平均線、指数平滑移動平均線、ボリンジャーバンド、一目均衡表、パラボリックSAR、RSI、ストキャスティクス、MACD、モメンタム、ROC、フィボナッチ・リトレースメント、ATR、OBV、ピボットポイント・・・。結局のところ、これも「当てる」ことから抜け出せていない。タイミングを当てようとしているだけのこと。
第3段階:感情との闘い
投資の世界で成功を阻むのは、実は自分自身の感情かもしれない。そう感じるのがこの段階だ。期待、高揚、不安、混乱、失望…。これらの感情をコントロールすることの重要性に気付き始める。しかし、それを実践するのは容易ではない。自分の感情にまるで気付かない。
第4段階:基礎への回帰
そして最後に辿り着くのが、基礎の重要性である。「トレンドに乗れ」「目の前の値動きこそ全て」「損小利大」「自分自身を知れ」「自己規律」「ルールを守れ」。これらの言葉の真の意味を、ようやく理解し始める。1000円で買ってきた投資本にも載っているようなこと。一周まわって元に戻り、基礎の重要性がわかってくる段階。
1000円の投資本に書いてあること
投資の真髄を理解するには、時間がかかる。お金を稼ぐには「当てること」という思考からいつまでも抜け出せない者は、永遠に宝探しにさまよい続ける。自分で知っている範囲以外の事に目を向けることができないからだ。1000円の本に書いてあることの重要性を理解し、実践できる段階まで到達するには長い時間が必要なのであるが、現実には、第1段階の壁で消えていく人の方が多い。
オリンポスの神々の知恵
伝説によれば、オリンポスの神々が一堂に会し、「人間に最も感謝されるよう、幸せになる秘訣をどこに隠すべきか」を議論したという。様々な提案が飛び交った。高い山の頂上、深い海の底、地中深く——。しかし、最終的に採用されたのは意外な場所だった。
「人間の心の奥深くに隠そう」
この提案は、神々の間で即座に同意を得た。なぜなら、人間は往々にして外部に幸せを求めがちだが、実は自分の内側にこそ真の幸せがあるという真理を、この選択が象徴していたからである。
この逸話には、人生における重要な教訓が込められている。
第一に、幸せの内在性を示唆している。幸せは外部の何かではなく、私たち自身の内側にあるのだ。
第二に、自己認識の重要性を強調している。古代ギリシャの格言「汝自身を知れ」と同様、自己理解が幸せへの鍵であることを暗示しているのである。
第三に、探求の旅の価値を示している。多くの人が幸せを外に求めるが、実は自分の中にあったという「青い鳥」の寓話と通じるものがある。
そして第四に、内面的成長の必要性を説いている。幸せを見出すには、自己の内面を深く掘り下げる必要があるのだ。
現代社会への示唆
この古代の逸話は、現代社会にも深い示唆を与えている。物質的な豊かさや外見的な成功を追い求める現代人に、真の幸せの在り処を再考させるのである。
自己探求の重要性、内なる力の発見、マインドフルネスの実践——。これらの現代的概念も、実はこの逸話の本質と通じているのだ。
幸せの秘訣は、遠くにあるのではない。それは、私たち一人一人の心の中に隠されている。この気づきこそが、真の幸せへの第一歩となるのである。
教えるためには10倍知っておけ?
私はこれまでの14年間、アドバイザーの立場で受講者さんに教えてきたようで、実は最も勉強できているのは私自身といえる。まず、「教える」という行為は単に知識を伝えるだけではない。教える側は、相手がその内容を理解し、活用できるようにする責任がある。これは、情報をただ暗記するだけではなく、理解しやすい形で伝えたり、興味を引くように工夫しなければならない。
よく「教えるためには10倍知っておけ」と言われる。これは単なる誇張などではなく、教えるためには、自分自身がその内容を深く理解してなければならない。このため、伝える側は常に学び続け、自分の知識をアップデートしなければならない。また、伝える側は、自分が理解していることを他者にわかりやすく伝えるスキルも必要。これは単に知識を持っているだけではなく、それをどう伝えるかという伝達能力も重要になる。何かを教えようとすると、これまでの10倍深く知っておけと言われるゆえんであり、私は14年の間、その真っただ中で誰よりも成長させてもらえた。大変ありがたいことである。
これを独り占めすることなく、受講される人にはどんどん知恵とスキルを還元していかなければならないと思う。
投資の真髄を学ぶ機会
投資の世界には、すぐにわかるものと、すぐわからないものの2種類がある。すぐわからないものは、時間を掛けて少しずつわかってくる。投資教育を始めて14年。投資道が何たるかが、ようやく見え始めた。
プラトーレポート
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