小学6年生の堀くんは、信号機のない横断歩道で車が止まらず渡れないという問題に直面し、これを夏休みの自由研究として調査した。
彼は12日間にわたり、車がどの程度止まるのかを観察し、「止まる車」と「止まらない車」の特徴を分析した。結果として、優しい顔のおじいちゃんや大きな車は止まりやすく、スポーツカーのような背の低い車やおばあちゃんは止まりにくいという傾向を発見した。この調査結果は警察にも報告され、交通安全啓発資料として活用された。
昨今特に横断歩道では、歩行者がいる場合は必ず一時停止しなければならないことは強く言われるようになった。しかし、依然として止まらない車は多い。
「止まらない車もある」と簡単に結論付けず、検証し傾向を確かめようとする姿勢には感心するし、実践家として学ぶべき点は多い。
そして、「やさしい顔のおじいちゃん」が止まってくれるだろうということは、およそ想像がつく。しかし、「いかついお兄ちゃん」とかトラックなどの「大きな車」は、「優しくない人代表選手」に見えてしまうことから、止まってくれることは意外に感じたようである。また、「優しい人代表選手」のおばあちゃんは止まってくれない。小学生からすればこれも意外だっただろう。
スキーマの打破
堀くんの研究はスキーマを打破する良い例である。スキーマとは過去の経験に基づいて形成される情報処理の枠組みであるが、新しい視点を持つことでこれを打破することができる。堀くんは固定観念にとらわれず、独自の視点で問題を捉え、実験と検証で新たな発見をした。あたらしいスキーマを形成することに成功したわけだ。
新しい視点を持つことは、これまでの思考の枠組みを打破するには極めて有効。では、実践投資家として強くなることに当てはめて考える。
投資力養成プログラムでは、特別実践レポートやメルマガで他者の考えに触れる機会を豊富に用意している。
また、「これ、どう見る?」とか「強いチャートの定義は?」といった設問を受講者さんに投げかけるが、普段スルーしてしまうことに関して深堀し、頭の中を整理する機会は新たなスキーマの形成には欠かせない。
週次報告や既定課題の添削でフィードバックを得られる機会がある。堀くんの調査結果が交通安全啓発資料として活用され、ドライバーへ新しい視点や考え方を取り入れるきっかけとなったように、フィードバックはスキーマの再構築に役立てられる。
相場の世界では、誤ったスキーマによる誤った行動を繰り返していても、利益につながることはない。
- 他者の思考を知る機会
- 設問により深く考える機会
- フィードバックを受ける機会
など、投資力養成プログラムのコンテンツをフル活用してスキーマの打破を図り、収益の増大に結びつけていただきたい。