あまのじゃくのおかげで成功した
勉強熱心な受講者であるAさんが大事なことを教えてくれたので共有する。
「知られざるマーケットの魔術師」ジャック・D・シュワッガー (著)より
第2章 ジェイソン・シャビロあなたは人と異なる言動を取る性格のおかげで、成功したと思いますか。それは間違いないですね。私はみんなが同じことをしているときを見つけて、逆のことをします。当然ながら、みんなが並外れたリターンを得ることはできません。ですから、だれもが何か同じことをしているときに、並外れたリターンを得る唯一の方法はみんなと反対のことをすることです。相場の素晴らしいところは、確認が取れるまで待ってから、反対のポジションを取れることです。コントラリアンであること以外に、成功するために重要だったことは何でしょう。何度も失敗しましたが、失敗に対して冷静に向き合い、そこから学ぶことができたから成功したのです。失敗したのは自分がダメだったからで、市場が間違っていたからでも、だれかにだまされたからでも、人がよく言ういろんな理由のせいでもありません。人は失敗すると、やめてしまいます。失敗を恐れるせいです。どういうわけか、私は本能的にリスクを好みます。失敗はしたくないのですが、リスクをとって失敗しても気にしません。
本章書き出しの著者のコメントが「生まれつきのコントラリアン」でしたので。逆張り投資家の考え方では参考にならないだろうな、などと思って読み始めたのですが、、、。
シャピロは、大衆は常に間違っているを信じて実行するトレンドフォローワーでした(^^)
多数派は常に間違っている
相場用語としてコントラリアンは「逆張り」を指すが、ここでは「あまのじゃく」の意味であろう。ここに抜き出された中には、いくつも大事なポイントがあるため、実践投資家としての解釈で深掘りする。大衆投資家は儲けることができない。「プロの世界の成功確率」で述べた通り、トレードで成功する人の割合は4%以下である。つまり、96%の大衆が負けるのであり、その逆の行動をすれば4%側になれるのではないかということである。しかし、一方で我々はトレンドフォロアーで順張り派である。大衆が大きな流れを作るのであり、あまのじゃくだからといって流れに逆らっていては利益を得ることはできない。ここで解釈に困るのが、『トレーディングエッジ入門』に出てくる「多数派は常に間違っている」という教えである。
今回改めて、「第8章 多数派は常に間違っている」を読んだ。
簡単に言うと、大衆投資家は素直に学んだとおりに売買する。もしくは、感情が優先し本能が感じるままに売買をする。
例えば、テクニカルを勉強した者は、ゴールデンクロスというエントリーサインを見つけたら買う。ダブルボトムのネックライン超え、上値抵抗線ブレイク、三角保ち合い上放れなど、どこでも売っている投資本のサイン通りに反応する。
ファンダメンタルズを勉強した者は、好業績が発表されたら買う。日経新聞に載ってたら買う。為替に好影響の銘柄を買う。会社四季報が高評価の銘柄を買う。株雑誌が特集している株を買う。女性週刊誌に掲載されている株を買う。あるいは、値上がり率ランキングに出てきた上位の株を買う。年初来高値の株を買う。
投資本で学ぼうが、NET教材で学ぼうが、同じような買いサインがでたら買う。秘密のお宝情報でも買う。掲示板で上がるとされた銘柄を買う。
自分で工夫したり、考えたりしない、マニュアル大好きコピペトレーダーそのもの。
その結果、大衆投資家は負ける。「プロの世界の成功確率」で解説の通り、負ける方の96%側の人間になる。よく考えて欲しいのは、過去、相場で稼いでやろうと思った連中のほぼ100%は、同じようなことを考え行動し、そして負けてきた。100人いたら100人が思いつくような、投資本で学ぶ、NET教材で学ぶ、投資教室、証券会社のセミナーで学ぶなど同じようなことを考えてやってきた。
その結果が、ほぼ全員が相場の負け組。私の肌感覚では勝てる人は1%以下。
これが大衆投資家という有り様であり、トレーディングエッジ入門で言うところの、「多数派は常に間違っている」ということにつながる。どうあるべきかも、トレーディングエッジ入門には書かれている。
マーケットを観察してその反応を利用するというトレードスタイルを採用する。テクニカル分析に基づいた注文の波を予想としてではなくマーケットの刺激として利用し、トレンドが変わるたびに「チャートを読んで」維持管理する。大衆の行動を利用して自らのポジションを有利に維持管理すればいいだけのこと。(若干文言を修正)
どこにでもあるマニュアルに書いてある通りのオーソドックスな買いサインに反応してエントリーするのではなく、それらに反応した市場参加者の動向をチャートで確認し行動する。
これが実践投資家のあるべき姿であり、チャートにのみ従うということで、かなり大事な概念だ。
失敗から学ぶ時、注意すべき4つのポイント
何度も失敗しましたが、失敗に対して冷静に向き合い、そこから学ぶことができたから成功したのです。
失敗との向き合い方には次の4つのポイントがある。
- 正しいのに間違っていると認識
たんなる確率上の問題として損失を出した。ルール通りに行動したにもかかわらず、損失を出した事実だけを見て、間違いだと認識してしまう。
- 間違いを正しいと認識
間違った売買をしたにもかかわらず、偶然利益になってしまった場合がある。これが悲惨な結果を招く。間違っているのに儲かった場合、素人は「儲かった」という結果だけを見て正しいと認識し、自信満々で次も間違った行動をする。偶然に頼り続け、資金が底をつき始めてようやく気づく。「あれ、何かが違うぞ。俺、間違ってるんじゃないか?」と。そして残り少ない資金を全額投入して一発逆転を狙う。これまで間違った行動を続けてきて、最後の一回だけうまくいくことはありえない。そもそもうまくいくルールなら、リベンジトレードしなければならないところまで落ちない。一発逆転を狙う段階になれば、残り少ない資金はもはや無いも同然である。プロスペクト理論では、損は利益の2倍の痛みを感じるため、80万円の損失から比較すれば、残りの20万円などゼロ円同然である。だから一発逆転リベンジトレードができるのである。偉そうに言っているが、私もそれをやった。
- 失敗と人格否定は別もの
大衆投資家は失敗すると人格まで攻撃されたように感じる。単なる確率の問題やエントリータイミングが悪くて損失を出しただけなのに、一回一回の損失に対してひどく傷つく。リスクの取り方がわかっていない証拠である。正しいリスクの取り方を理解するには独学では難しい。失敗=お金が減る=自分はダメな人間だ、と認識し自己卑下する悪循環に陥る。失敗と人格否定は全く別物である。承認欲求は誰にでもあるが、相場での失敗をありのまま受け入れるとうまくいかなくなる。
- 間違った認識では問題の解決ができない
正しいのに失敗していると認識し、間違っているのに正しいと認識してしまう。行動心理学でいう結果偏向である。プロセスを無視し得られた結果のみで判断する。このような誤った認識では失敗を次のステップアップに活かせない。大衆投資家が成長できない原因はここにある。失敗を客観的に分析できて初めて改善できるが、大衆投資家はそれができない。過去に経験したことしか判断基準がないからである。ルール通りに行動して損したことを失敗だと考えることは誤りであり、ルール通りに行動せず儲かったことを成功だと思わないことも誤りである。何が正しく何が間違っているか経験がなく、失敗を活かせないのである。
しかし、うちの受講者は違う。間違いは間違いと指摘し、問題がなければ申し分ないと言う。時には、「私はこう考えるが、あなたはどう思うか?」と考える機会を与えることもある。
その添削を受けた受講者は、「この取引は損したが問題なかった」と理解し、問題がある場合は改善につなげることができる。
失敗することが悪いことではない。むしろ失敗するから問題点が浮き彫りになり、間違いを修正することができる。個人が独学で学んだところで、稼ぐトレーダーになれる確率は1%以下。それに対して、投資力養成プログラムは、その何倍も成功しやすいという理由である。