失敗することは悪いことか?
『株式投資で失敗しないために必ず読むべき1冊』『初心者が失敗しないための心得』など、アマゾンで資料を探していると、このようなフレーズが目に入ることがある。どう感じるだろうか。「そうそう。ごもっともな話だ」と思う人がほとんどであろう。
しかし、私の場合は少し異なる感覚で捉えている。株式投資の世界に限らず、実業の世界でも失敗しないなどということはありえない。トレンドフォローの勝率は3割程度であり、つまり7割は失敗することになる。その7割の失敗を嫌って勝率を上げることに躍起になると、間違いなく損益比は悪化し、少しの利益でも逃したくないばかりに早々に利確しようという行動に出るのである。小さな利益にばかりこだわり、時折大きな損失を出してしまい、これまでの苦労が吹き飛んでしまう。これは典型的な初心者の失敗パターンであり、初心者が上達できない要因でもある。うちでは、失敗は大いにしたらよい。失敗を恐れるよりも、失敗から学ぶことのほうが重要だと考えている。そこで、受講者に相場で受けた仕打ち3選を思い出してもらった。Mさんの場合である。
失敗から学んだこと3選
1・情報屋の詐欺にかかる
トレードを始めてすぐ、まだチャートの見方も知らない超絶初心者の頃、一度だけ情報屋の情報を買ったことがあります。いくらの情報だったか忘れましたが、自分的には高い買い物でした。情報料を回収して、さらに利益を残すためにはかなりの株数を買う必要があったと思います。このような商売は詐欺まがいだ、という認識はありました。この時は、お金をドブに捨てる結果になったとしても仕方ないという覚悟でした。そんな覚悟をしてまで詐欺に飛び込むのはおかしな話ですが、強欲根性に勝てず「一度だけ試してみよう」と、推奨銘柄を買ってみました。
結果は、大外れ。損を出して終わりました。
あまり記憶にないのですが、一応推奨LC値も指定されていて、それにひっかかった形だったかな、と。「やっぱりな~」とは思いましたが、本心では悔しさいっぱいです。同時に、やはり情報屋は頼るべき存在ではない、自分の力を上げて戦えるようにならなければ道は開けない、との認識が固まった瞬間でもありました。この後、住川様のもとで学び始めるようになります。
余談ですが、LC後にその情報屋から電話がかかってきたことがあります。基本的に知らない番号は出ないのですが、その時は出てしまいました。しまった、と思いましたが、もう関わり合うことも無い相手なので、興味本位で「御社推奨銘柄の勝率は何割くらいですか?」と質問してみました。次は本当に有力な情報で~、みたいなことを言ってきたので、ならどのくらい当たるのよ?、と。電話口の若そうなお兄さんは一瞬間を開けたのち、「70%強、くらいですかね」と言ってきました。ここだけは、鮮明に覚えています(笑)
当時の私が「70%って、低っ!」と思ったことも(苦笑)
今考えると、突っ込みどころ満載ですが。3割外す情報はいりません、みたいな事を言って通話終了、即着拒設定して終わりました。詐欺に群がるような客が相手なのだから、9割方は当たりますよ~くらい言っても良さそうなのに。そういうマニュアルなのでしょうが、7割って微妙な設定だな、と思いました(笑)
2・買いで損して、売りで損して
これもトレードを始めて間もなくの話です。買いでエントリーしたものの、それまでの上昇は私が入った途端反転し、すぐにLCとなってしまいました。まぁ、よくある話ですよね。今なら、シナリオ通りのLCという判断ができますが、当時はそうではなかった。上がると思っていたのに、損を出してしまった事実が受け入れられず、即座に売りで入りなおしました。もちろん、売りでもLCです。
この時は、今では考えられない行動ばかりしていました。場中に相場を覗くこと(人によってはありかも知れませんが、私個人としてはなし)。アドレナリン出まくりの本能のまま、シナリオも立てずにアクションすること。そもそも、負けが受け入れられないこと。
ちなみに、銘柄はみんな大好きOLCでした。午前のうちに買いと売り、両方がLCになり、ショックのあまり忘れることにしよう、と思ったのも覚えています。バカですね。
3・増玉LCから、変な期待をしていたことを知る
これは住川様のもとに入門してからの話です。銘柄は、今はなきファミリーマートでした。エントリー後順調に上昇していた同銘柄ですが、資金の都合上増玉ができずにいました。その日は、他の手持ちがLCしたことによる資金回収があり、増玉に踏み切ったのですが突然の大陰線に巻き込まれ、増玉はその日のうちにLC。本玉も含み益を減らしてしまいました。
増玉さえしなければ。
せっかくの含み益が。
期待して入ったのに。
そのことを住川様にご報告したところ、「増玉をしたことは間違ってはいない」「期待したということは、エントリーした取引は全て上がるもの、と思っていませんか」といった内容のご返信を頂きました。
これは目からウロコでした。自分では、そんな傲慢な考えを持っていたとは想像もしていなかったので。でも、言われてみればその通りだ、とショックを受けたことを覚えています。
3点、過去の汚点というか恥をさらしました。1と2は、本当にバカだなぁ、と心の底から思います。3は、学習してきた中での分岐点というか、自分的に衝撃をうけた気付きです。
余談ですがもう一つ、決定的に衝撃を受けた気付きに「自分は実は、心の底では10%、20%の小さな利益を狙っていた」があります。今でも、そちらの方向に引きずられることがあるので、やはり週次報告は欠かせません。話を戻すと、良くない結果は全て、自分の未熟さからきていると思いました。初心者丸出しの行動しかり、心構えの弱さしかり。
今でも弱い自分ではありますが、でも初心者の頃よりは視野が広くなりましたし、落ち着きも生まれました。経験値を積むことにより、きっと今の自分も「あの頃は、未熟だった」と言える日が来るだろうと思います。伸びしろだらけ、ですから。
詐欺師の魂胆
この失敗は誰もが経験するものである。証券会社はこれに似たことを正々堂々と行っている。「あの銘柄がいいですよ。この銘柄に買い換えたほうが儲かりますよ」と、いかにも相場の世界を熟知していて顧客に儲かる情報を提供しているつもりである。しかし、本音はこのYoutuberが語っている。
投資情報など、ノルマを達成するために顧客に取引をさせるためのきっかけにすぎず、顧客のための情報ではなく、会社が数字を上げるためのネタにすぎないのである。証券会社をクビになった者たちが、その仕組みをそっくりそのまま使って顧客を騙し討ちにするのが銘柄情報サービスである。
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という類のやつ。
これらはすべて詐欺である。大化けする銘柄を知っているなら、独り占めすればよいと思うが、親切にも教えてくれるらしい。私にはその魂胆が丸見えであるが…(爆笑)。
何を買うかは、自分が採用する売買ルールに最適な銘柄を自分で選ぶべきであり、他人に教えてもらうものではない。誰かに重要なポイントを委ねるということは、お金を稼ぐために情報を提供してくれる誰かが必要であることを意味し、首根っこを押さえられているのと同じである。これは、会社にしがみつくサラリーマンと同じである。厳しいノルマを課せられ、嫌々ながらも給料をもらわなければ生活が成り立たない。仕事も上司も嫌いだが、サラリーマンとして我慢しているのと同じ構図である。銘柄選定スキルは非常に重要な部分であるが、失敗しても何の問題もない。むしろ、失敗することで学べることの一つと言える。
買いで損、売りで損
これは往復ビンタと言う。これも失敗したから痛みが生じた。風見鶏エントリーをしてはいけないということである。うちのルールでは、風見鶏トレードを禁止しているため、その理由が身に染みてわかったことであろう。株は買いだけで十分である。買いも取って、売りも取ってなど、できるわけがない。うねり取りなどは超高度な技術と方向を捉える嗅覚が必要である。そのような難しいことをして頭の中が大混乱するより、「買いだけで結構」と、スッキリしたルールにしたほうが迷わずに済む。難しいことをしなくても稼げるようになるのである。
考え方
考え方が重要である。では、なぜ増し玉をするのか。それは、利益の最大化を図るためにポジションを大きくしたいからである。
- ポジションを大きくしたいのは、最初に小さいポジションで入るからである
- 最初に小さく入るのは、厳選して銘柄選定したとしても思惑通りに上昇するとは限らないため、逆行した場合の損失を小さくするために小さく入りたいからである
このように、ルール化された裏には緻密に組み立てられたプロセスが存在する。感情やその時々の状況に応じて上手くやろうとしすぎると、プロセスを無視した間違いを起こすことになる。Mさんの今回の事例は、増し玉することの意味に気づくための必要な失敗であった。
自分の未熟さからきている
「自分の未熟さからきている」というのはまったくその通りである。0からいきなり100点にはならない。1点ずつでよいので、点数を引き上げていけば、次第に満点に近づくことになる。その成長の過程には必ず失敗がつきものである。むしろ、失敗することで身につけられることのほうが多い。ほとんどの素人は、いきなり100点を目指す。そしてそれが可能だと思っている。これが稼げない根本原因である。いきなり100点ではなくても、どんどん失敗すればよい。その損失は、次のステップに上がるための授業料だと思えば何でもない。うちでは1000万円プレーヤーぐらいにはなれるので、何も恐れる必要はない。失敗から学べばよいのである。