株チャート分析

受講者さんが、含み益90万円まで積み上げたものを10万円まで減らしてしまったという報告をいただきました。チャート分析してみます。

月足 6920レーザーテック
週足 6920レーザーテック

このような急上昇のチャートは反転下落を警戒しなければならない。
週足をみると7/17の週の前回高値をブレイクしたのが1/8の週。
その後急騰してるので反転下落を警戒しなければならない。

日足-1 6920レーザーテック

相場参加者の心理を想像すると、1/13までは全員が含み益状態で売り急ぐ必要はないし、むしろもっと上がれと思っている。上がれば含み益が増える。仮にいち早く流れから降りてしまったら、自分だけ取り残された感・・・つまり、実損ではないけれど損した気分になる事もあり、手仕舞いしようという行動にでない。

その証拠に、日足-1を見れば明らか。
12000円の上値抵抗線をブレイクしてからの急騰の時は、

  • 売りが少ない
  • 少々高くても買いたい



という状態なので、

買い >>> 売り

となる。

(ちなみに、不等号記号はあくまで勢いを言っていて数量のことではない。売買が成立するということは、買いと売りで成立するので、買いと売りは同数となる)

急騰時には次の事を考えなければならない。

どこかで手仕舞い売りが出て株価は下げる。

強いチャートを描いているとはいえ、一直線に上昇することは絶対にない。
途中で利食いたい人も出てくるし、高くなった状態では買い控える者も出てくる。

  • 売りがで始める
  • 高くて買い控える

ホルダー側は高値警戒感が出てくるし、いつか下げてくるだろうと思っている。出来るだけ高いところで売りたいとも思ってるはず。自分がこの株を持っている状態を想像すればよくわかるはず。



で、

1/14の足が出たらどう思うか?

日足-2 6920レーザーテック

1/13は15,060円の大引け坊主(正確には15,100円がこの日の高値。40円の差は0.2%なので誤差の範囲)。買いの勢いが強いまま引けており、次の日も強さは継続するだろうとホルダーは思っている。

その証拠に、チャートでは1/14は15,400円と高く寄り付いている。
しかし、15,690円まで少し上げたが、一気に売り込まれて13,270円まで下げたところで買われて14,330円で引けた。

上下の振り幅は(15,690-13,270)=2,420円  最高値から15%下げている。



この日出来高がメチャクチャ多く、仕掛け筋が1/4からの上昇を演出して、高値で売り抜けた可能性も考えられる。


「仕掛け筋の行動を知る事はできないか」と、たまに質問をいただくが、我々一般人に簡単に動きを知られるような間抜けな仕掛け筋はいないと思った方がいい。「いつ売りますか?売る時は事前に言ってください」とお願いしても、教えてくれるわけがない。彼らは、お人好しに自分たちのポジションをできるだけ高く買わせる事を生業としてるのだから、手の内を明かすわけがない。



仕掛け筋の行動を知るには、我々実践投資家ならチャートからイメージを膨らませるしかないし、イメージする力が維持管理の良し悪しに繋がっていく。


さて、1/14は振り幅が15%ある。
TS(トレイリングストップ)を自分のルールに従って設定していたらどうなるか?

1/13の終値の-10%(人によって違う)に設定していたら。

1/13が15,060円で引けているので、15,060円×(1-0.1)=13,554円

つまり、逆指値にヒットして手仕舞いできている・・・と言うことになるはず。

ここがポイントの1つ目。

TSを設定しているか?

何が起きるかわからないので、必ず逆指値を設定しておかないと、せっかくの含み益が台無しになる。
また、TSをどう設定するかは、各人のルールによるし、統計を取って検証しておくべき。TSの統計は数名の受講者さんからは報告を頂いているので、まだの人で本気の人は報告を待ってます。

- 次の記事を読むことで売買戦略の重要性がわかります -

さて、続きを見ていくと、1/15の高値は15,640円。

日足-3 6920レーザーテック

1/14の高値が15,690円。50円の差があるが、ほぼ同じ高値位置。この足組を毛抜き天井という。この2本のローソク足の背景はダブルトップになる。

2回高値を付けているので、反転下落を警戒しなければならない足組(毛抜き天井のイメージをチャート中に表記)。そこまで強い下落サインではないが、実践投資家なら下落を警戒するべきだろう。


ホルダーは、なぜ買い持ちしているかと言うと、高値更新してくれて含み益がタップリ乗って欲しいから。株価の上昇を期待している。

それなのに2回高値更新に失敗するとどうなるか?

一部のホルダーは期待してることと違うので手仕舞いに動くはず。
その手仕舞いの結果、株価がネックラインを割り込むと、ネックライン付近にストップを置く人は多いので、ストップを巻き込みながら売りがたくさん出ることになる。

ネックライン付近にストップを置くのは、ネックラインが下値支持線として機能している場合が多いので、支持されるラインを割り込んだ。つまり、底抜けた事になるのでネックラインにストップを置くのは合理的な判断と言える。

毛抜き天井なので強いサインとは言えないが、以上のメカニズムをイメージできれば、手仕舞いしなくとも、警戒はできたはず。

ここがポイントの2つ目。

毛抜き天井だぜ。さあ、どうするよ。
という事。

続いて。
1/18、1/19と陽線で株価は上昇。1/20は陰線になった。

日足-4 6920レーザーテック

この時点。毛抜き天井と1/20の上ヒゲ陰線で、ダブルトップもしくはトリプルトップと判断できる。
するといよいよ高値更新が危ういと見たホルダーは手仕舞いに動きやすく、ネックラインを割ればストップを巻き込み急落確定となる。

ここがポイントの3つ目。

トリプルトップ、もしくはダブルトップ。もうすぐネックラインを割るかもよ。さあ、どうする。
という事。


さて、その次。
1/26まで進んで、「あれ、これって三角保ち合いじゃね?」と、チャートを読めればここでまた手が打てるチャンスになる。

日足-5 6920レーザーテック

三角保ち合いなので、エネルギーが収束して上抜けるか、下抜けるかのどちらか。
下値支持線を形成。安値を切り上げてきているという事は、前日より高くても買いたい人がいる事を意味し、当然高値更新を期待している。上値抵抗線をブレイクすれば、買った人は思惑通り利益を得られる。ホルダーも利益が膨らむ。

しかし、上値抵抗線に接近した事で買いの勢いが弱まり売りの勢いが勝ると当然株価は下げる。

ちなみに、上値抵抗線と下値支持線に差があると、買い側は少しゆとりが持てる。上値抵抗線まで上昇し反転下落したなら同値撤退か、下値支持線で切れば大きな損失を被ることがない。そう見た買い方の動きが反映されている。これは、いつも言ってるように、保ち合いを利用しリスクを限定した仕掛けと同じ発想。

毛抜き天井のところで2回高値更新に失敗。1/20の上ヒゲ陰線で高値更新失敗。
1/26でも高値更新に失敗となると、ここまで持ち続けているホルダーはどう思うか?

三角保ち合い上放れとするより、下放れの可能性が高いとみるのではないか?

「高く買ってもらえるうちに利食っとこ」と思うのが自然ではないだろうか?

ここがポイントの4つ目。

高値更新に何度も失敗して三角保ち合いになったよ。
下放れるんじゃね?
さあ、どうする。

という事。



1/27
株価は下放れました。

日足-6 6920レーザーテック

2/1
14,000円が下値支持線になって、株価の下落を支えている。
ダブルトップも三角保ち合い下放れの下落も大したことにはならなかった。
下値支持線に支えられ高値の保ち合いになった。

上値抵抗線が15,400円あたりとして、14,000円の間の保ち合いと読めるし、そう読むべき。すると、保ち合いを利用したリスクを最小限に抑え込む戦術が使える(日足-6内に表記)。

この段階で、ポジションを持ってるなら、上値抵抗線を超えてからか、抵抗線付近で増し玉をすれば良い。

もし、抵抗線に跳ね返され下落するなら増し玉のタイミングが悪かったとして、即切るだけの事。上値抵抗線を抜ければ、いよいよ待ちに待った高値更新が待っているので、ここまでホールドし続けている者は全員が含み益状態になり、売り物が出なくなり、買いが入れば株価上昇の期待大。



しかし、今回は下値支持線と見た14,000円を割った事で下落が加速。
2/8に1番底を付けリバウンド。

日足-7 6920レーザーテック

チャートノック第8回で解説したメカニズムが働き上昇。
この時、2/15と2/22でダブルトップ。
高値更新を期待するホルダーが2回裏切られる事になる。
15,400円の高値どころか、14,600円もクリアできず、第8回で解説した通り売られる事になり、さらなる下落で2番底を付けにいく。

日足-8 6920レーザーテック
ここがポイントの5つ目。

2/15と2/22のダブルトップで株価上昇が期待薄じゃね?
さあ、どうする。

という事。



その後、意識される2/8の直近安値で止まる事なく下落(日足-8 青矢印で表記)し、11,400円あたりにある直近安値(12/9安値)で下げ止まったという状況。


まとめ

このように市場参加者の心理や行動を丁寧に読み解いていけば、ボヤーッとしていた株価の行方が見えてくるでしょう。

これぐらい頭の中で処理して欲しいわけですが、個人投資家でも多いのはテクニカル頼りの人。
テクニカルの指標だけを根拠に売り買いする人が多いですが、そんな程度の事は、ちょっと本気の人ならみんなやってます。

誰でもやってる程度の事をやっても勝てないんですよ。一回、二回勝てても、勝ち続ける事はできないんですよ。
テクニカルは補助的に使うもので、メインにしてしまうとチャートの奥にある本質が見えなくなります。



ここで言う本質とは何か?


買いたいと思ってる人は、どうなったら動きそうか?
もしくは、どう動いたか?
それをチャートという客観的な情報から想像するんです。

ホルダーはどうしたら、売りたくなるのか?
どんな時に高値更新を期待しているのか?



ここで売るとか、ここで買うとか、100%全員が同じ行動を取る事は絶対にありません。

買い > 売り

とか、

買い>>>売り

とか、バランスが崩れる時というのは必ずあります。

そいう時こそ、動くキッカケにできる。

これが維持管理なんですよ。

人間は感情で動きます。
理屈で動くわけではありません。

買えば儲かるかもという欲と、
このままでは損するかもという恐怖との綱引きを株価の動きを見ながら感じてるんです。

だから、参加者の心理を感じ取らないとダメでしょう。


今回はレーザーテックのチャートを分析しましたが、ここで反転するとか、上昇するという100%言い当てられるポイントなんかありませんが、下げる可能性が高いポイントは5つありました。

そのポイントで手を打ってたら、うまく手仕舞いできたと思います。



さて、2番底を付けて株価は上昇を始めています。
2本のラインを引くだけで、市場参加者の心理が見えてきます。つまり、次のエントリータイミングをはかる根拠になるんです。

チャートノックで訓練した人はわかるはず。

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