チャートから需給を読み解くとわかること

三角保ち合いの需給バランスを解説

次のチャートは7011三菱重工業三角保ち合いです。

日足 7011三菱重工業

上値抵抗線が9月末から2ヵ月近く機能しています。
8500円のライン(上値抵抵抗線)に少なくとも4回タッチ(赤丸)していて、2ヶ月近くこのラインをブレイクできなかった。

この間、ホルダー(株を保有している人)はどう感じているんでしょうね。

  • 短期で利益にしたいホルダーはどう感じているか?
  • 少し長めでも大きめの利益にしたいホルダーはどう感じているか?
  • 8500円より高い位置で買った人が9月に存在します(緑四角ハッチ部分)が、まだ損切りせず含み損を抱えるホルダーは何を思っているでしょう?
  • 10/31から引ける下値支持線の安値が切り上がっています。どうして安値が切り上がってるのでしょうか?

このように、ホルダー(供給側)と買いたい人(需要側)のバランスを丁寧に見ていけば、三角保ち合いが収束していった時の株価の行方が見えてきますよね。ちなみに、ハッチ部分以外で買っている人は全員が含み益の状態です。急いで手仕舞う必要がある人は、10月中に売ってるでしょうから、現在のホルダーは急いで売る必要がないと考えている人達。

7011三菱重工業の三角保ち合いで、安値が徐々に切りあがっていくのは、ホルダーの売りが少なくなっているから。つまり、売りは出にくくなっている。そして、買い方は少しでも安く買いたいと思っているけども8500円の上値抵抗線付近じゃないと買えない状況が続いている。

明らかに、
買い > 売り
ということがわかりますか。

株価なんて、理屈とか、テクニカル的サインが出たからとか、そう言うことをいちいち知る必要はないんです。あらゆる事情で売ったり買ったりしている人たちの足跡がチャートで表現されているわけでしょ。株を買いたい、株を売りたい。この需給であって、チャートを読むことでその確率を高めることができるんです。

この後はズバリ、
三角持ち合いが収束し、次に株価の動く可能性が高いのは上昇転換です。

ちなみに、9/7から9/29で上値抵抗線が引き下ろせます。
同時に8375円の下値支持線で三角保ち合いが形成されています。

日足 7011三菱重工業

この三角保ち合いは、高値を切り下げていますが、株価はどうなったか?
三角保ち合いを下抜けることになりました。需給バランスを見れば簡単に読み取れます。株価なんて、需要と供給のバランスだからです。

さらに、10/4まで三空(厳密には窓開けは2回)で株価は急落しました。

これは、急激にホルダーの手仕舞い売りが出たと言うことになります。この三菱重工業は空が2つで三空にはなりませんでしたが、この時他に多くの銘柄も3つ窓をあけ下落し、三空を形成。その後急回復した銘柄は少なくありません。

三空踏み上げです。これも需給バランスを考えれば、理解しやすい現象です。

⇒ 三空踏み上げ

さて、このように株価は買いたい人と売りたい人の綱引きの結果であり、時間経過で結んだものがチャート。チャートから需給バランスを読み解けば、株価の動く方向を高い確率で見極める事ができるんです。

多くの投資を始めた人が、チャートすら読めていません。チャートが需給バランスだとは微塵も考えず、どの銘柄を買ったら儲かるか?どのタイミングを買ったら儲かるか?しか考えていません。勝てる訳がありません。

しかし、受講者の皆さんは、この需給バランスを読み解く訓練を日々行なっています。至極のチャート分析で実践家が分析した詳細を解説しているので、チャートの読み方の事例をたくさん知ることができるわけです。

トレードに必要な知識をたくさん吸収し、実戦売買で日々経験を積み上げていくので、勝てるようになるんです。

需給関係とは何ですか?

ちなみに需給関係とは何ですか?という質問がありましたので確認しておきます。

売られない、買われないは「買い ≒ 売り」株価は変動しない。
売られる、買われないは「買い < 売り」株価が下落。
売られる、買われる「買い ≒ 売り」株価は変動しない。
売られない、買われる「買い > 売り」株価が上昇。

株価なんてものは需給で決まります。需要と供給です。需要があれば買われます。

多くの場合、需要がある時には供給側(ホルダー)は売らないので供給が少ない。
売られない、買われる「買い > 売り」株価が上昇します。

ダマシのパターンをどう読み解くか?

追記:2023年11月24日
安値を切り上げる三角保ち合いは上放れるとしましたが、実際は11/21に下抜けました。その時のチャートです。

日足 7011三菱重工業
実践投資アドバイザー2

安値を切りあげる三角保ち合い上放れは買い。これは、定石です。

7011三菱重工業は、安値を切り上げる三角保ち合いを形成していましたから、買いが正解でした。ホルダー(株を保有している人)と買い方(これから買おうとしている人)の需給まで掘り下げて解説しましたから、買いサインということに納得されている人も多いでしょう。

しかし、11/21の結果は下げた。このことから、何が読み取れるでしょうか?

  • 騙された。二度と信用しない」と思うのも自由
  • 需給の解説は納得できた。ダマシになることもあるだろう。ダマシの背景を知って次に活かせないだろうか」と思うのも自由

実際には、超トレンドフォロー戦略のルールである-5%に到達していないので、含み損のポジションを保有したままの人も多いと思います。今回ダマシになった背景をどう考えますか?

  1. 使えないパターンとして安値を切り上げる三角保ち合いはエントリーを見送るのか?
  2. 教科書に書いてあったルールなので無批判に信用しエントリーするのか?
  3. ダマシの背景も十分考慮し、エントリーするという一貫した行動を取るのか?

受講者さんからの回答

Aさん
受講者さん
> 今回ダマシになった背景をどう考えますか?
> あなたの見解をお待ちしています。

まずは、「ダマシ」という言葉について。

自分は、株価の上下動を表現する際には使わないようにしています。トレーダーの感情を示す時には使用します。

今回のように、需給のバランスが「買い>売り」の状況で、株価上昇を示す場合は「順行」、株価下落を示す場合は「逆行」と表現します。

水平な上値抵抗線と安値を切上げる下値支持線で形成される三角持合の場合。上値抵抗線をブレイクアウトする確率は60%程度。ブレイクアウト後に順行する確率は70%程度。(今まで行った統計検証の結果より)

そのため、11/21の結果(下落)の理由(原因)はわかりませんが。

「今回は40%側の事象が発現した」というのが、自分の見解です。

> ダマシの背景も考慮し、
> 一貫した行動を取るには?

以下のルールでトレードしています。

確率が低くても(70%と比較して60%でも)参入価格を低くしたい場合(*1)はブレイクアウト前に参入。通常はブレイクアウト後に参入。

*1: 参入価格を低くしないとTP1到達前にLCにかかる可能性が高いと判断した場合。

Sさん
受講者さん
1・次に同じような安値を切り上げる三角保ち合いパターンを見つけた時、エントリーを見送るのか?

その銘柄自体の自信度にもよりますが首尾一貫した行動にもかかわってくるので見送ることはまずないと思います。ダマシになることは確率の問題であり、どんなに自信度の高い銘柄でも逆にいくことはよくありますし、恐らく自信度の低い銘柄で同様のパターンならもっと逆に行く可能性は高まるかと思われます。全ては確率に支配されていると思います。

2・それとも、教科書に書いてあったルールのまま無批判にエントリーするのか?

詳細に背景を知り得た上で入るエントリーと教科書的に入ったエントリーは全くの別物ですし、その後の維持管理にも違いが出てくることと思われます。その違いが積み重なることで収支の結果が雲泥の差になってくるのだと思います。

3・それともダマシの背景も考慮し、一貫した行動を取るのか?

やはり日中出来高が100万株以上の売買ランキング上位の有名株になってくると個人も多いですが、大口の出入りも多く、素直に上昇する局面も勿論ありますが、逆に一度、下に落としてもう駄目だろうと思わせてから本格上昇など、とにかく大衆にうまくやらせないように翻弄させる動きを駆使しながら最終的には株価を上げてくるのだと思います。海運株や商社株などもタチの悪い動きが多いです。それが彼らの重要な仕事でもあります。そういうことも起こりえると理解したうえでのブレないエントリーを心掛けていきます。

Tさん
人物man

三角保合を上抜けると思うタイミングで、下放れた。大口の売りかな

11/14-11/21の小さなwトップ下放れたことで流れが変わって22日の小陽線。
出来高から大体昨日と同じくらいの取引量だった。売りたいひとが新たに出たと見える。
けど前日の安値よりは下げずに止まった。
新たに下値支持線が8150円くらいで引けそう。そして10/5-11/21の安値あたりを引いた新たな三角保合形成
監視して8500まで行かなくても11/16のネック(実体)+1TICで試し玉でインしてみる。

Sさん
受講者さん

安値を切り上げている三角保ち合いを作ったが、下げてしまった、という理由。

  • 下げたということは、結果が、売り > 買い だった、ということ。
  • では、下値を切り下げるほど強い三角保ち合いで、売り > 買い となった理由は何か?を考える。
  • 結論:月足では、2007年の高値8500円がかなり目立つ抵抗線。
  • 2007年のホルダーが売った、というのは違うかもしれない。
  • (0ではないかもしれないが、そこまで昔のホルダーの影響が大きいとは思わない。)
  • 逆に、これがかなり大きなアンカー価格となていて、少し売りが出たため、売り > 買い となってしまい、下げてしまったのか?
  • 今後につなげるには?:月足、年足の高値は要注意。
  • ただし、確率の問題で、三角保ち合いブレイクでの仕掛けはエッジがあるというのは過去の自分の統計、および、住川先生の受講者様の統計から明らか。
  • であるなら、積極的に仕掛けて、損切対応すればよい。
  • また、今回のような例なら、損切幅をシビアにする、という調整はありかもしれない。
  • 私は、ブレイク翌日に仕掛けているので、今回の三角保ち合いは仕掛けていませんでした。
  • ただ、今後は支持線近辺での買いを検討したほうがいいと考えました。
  • 過去統計から、支持線買いでどうなっていたか?を見てみます。
  • ※こういう時に過去の統計が役に立つ、ということですね。

Aさん
受講者さん

前日までは、これは抵抗線を抜けそうだと思っていましたが、結果的には、大きく下がることになりました。
ブレイクしそうという状況に対し、売り>買いの流れになり、一方向に強く反応した形かと思います。ただ、一方向に強く反応する機会をとらえ、短期に利益を得ようとする流れかと推察し、落ち着き、買われてくれば、再び上昇の可能性はあるのかとも感じます。

そして、今後、どうするかということで、私は、「3・ダマシの背景も考慮し、一貫した行動を取る。」という選択をしたいと思います。

大数の法則が成り立つくらい、「サインがある」「ブレイクしそう」なときに、INしていくという行動をとりますが、ではその時に、想定通りにいかない場合を考え、どう対処するかです。

例えば、今回のような「ブレイクしそう」なときには、三角保ち合いの上値か下値か、どちらかに触れれば、一方向に強く反応することはあらかじめ想定されます。

よって、今回であれば、ブレイク直前にINするのではなく、11/1の窓開け陽線以降上昇し、一旦下落するものの、下値を割ることなく、再び、線が2営業日連続した事実を見て、11/13に寄付で8363円でIN。その後上昇し、11/16まではダブルトップの警戒、ただ、上昇し、三角保ち合い形成を見て、ダマシの可能性も考慮し、支持線の少し下の8330円でLCを設定。

というのが一つの対処法ではないかと思います。上抜けを祈るのではなく、下抜けも考慮した、どちらでもしっかり対応できる行動をとりたいと思います。

私どもでは受講者さんに報告などを強要することは一切していません。

どこかのサイトのようにお客さんの声を作文することもありませんし、お金を払って書いてもらうこともしていません。また、仲間内で儲かった声を書き合うなんてことも一切ありません。名前出しや顔写真入りで、「何千万稼げるようになりました」とか、リスクを晒して儲かった自慢など不自然極まりないことですし、私どもでは一切行いません。

大衆投資家を狩る奴ら(捕食者)の存在

実践投資アドバイザー2

安値を切りあげる三角保ち合い上放れは買い。これは、定石です。

私がまあまあ大量に保有していて利確したい立場なら、大量に買ってくれるタイミングを見て売り逃げることを考えます。自分が大量に保有しているものを売って株価が大きく下げてしまったのでは、十分な利益が確保できなくなるから。

その顕著な例が、好決算が発表されたタイミング。好決算なら多くの大衆投資家は買うはずです。多くの人が買う時なら、大きなポジションを売り抜けても安く売ってしまうことは無くなる。それと同じように、明らかに多くの人が買うであろうタイミングであれば、株価に大きな影響を与えることがない。

それが、今回の安値を切り上げる三角保ち合いだったのではないか?そんな風に思います。さすがに株を売った人に聞いて回ることができませんから真偽のほどはわかりませんが、そんなところです。

11/20まで売られることは無かったんです。チャートからは下値支持線で支えられているので、需給バランスは、

買い ≒ 売り

という感じ。売りも買いも積極的ではないことがわかります。そして、三角保ち合いが収束した翌日の11/21に普段の1.7倍の出来高で売られた。明らかに

買い < 売り

これが事実。

  • 捕食者が売り抜けるタイミングを避けてエントリーするか?
  • 下値を切り上げる三角保ち合いパターンでルール通りエントリーするか?

その後どっちへ転ぶかは、占い師じゃないのでわかりません。あとは、確率の問題。エントリーし逆行するならルール通りLCするだけ。順行するならトレンドに乗り続ける。

チャートに従うのみ。それだけの事。

マニュアル大好きコピペトレーダー

投資本にしても、その辺のNET教材にしても、証券会社主催のテクニカルセミナーにしても、「三角保ち合い上放れだから買え」と教えるだけです。たったそれだけ。

でも、三角保ち合い上放れは、三角保ち合いの需給バランスを解説で言ったような需給の背景がある。7011三菱重工業のようにセオリーには騙しの背景もある。

いつも言うことがあります。

実践投資アドバイザー2

投資マニュアルは、一方通行の知識の伝達でしかなく「結論」しか言ってない・・・というか言えない。

本来優れたトレード技法の裏には、当事者が胸をかきむしりながら思考し、汗と血を流しながら大きく資金を溶かし、試行錯誤、紆余曲折・・・。欲と恐怖の感情と格闘しながら積み上げてきたプロセスがある。パターン化されたものやハウツーには完成までのプロセスなど表現していない。

マニュアルを伝える側は多くの場合プロセスなど知らないと思うが、仮にプロセスを知っていたとしても教えないのは・・・、


お前らごときが、トレード技法の裏にあるプロセスなど知る必要はない。結論だけで十分。所詮食われておしまい。単なる餌。

と言っているのと同じこと。

マニュアル大好きコピペトレーダーではダメだということを強調しておきます。

定石通り

ちなみに、ダマシに遭ったものの11/24は定石通り上値抵抗線を上抜けた。

日足 7011三菱重工業

11/22、11/23でホルダーの手仕舞い売りが出尽くした。それに加え「防衛事業売上規模1兆円へ倍増の見通し示す」と好材料がでてきたことで、

買い > 売り

となった。

三菱重が続急騰、防衛事業売上規模1兆円へ倍増の見通し示し関心向かう
 三菱重工業<7011>が続急騰。同社は前営業日の22日、防衛事業説明会を開き、同事業の売上規模が2027年3月期までに年間で1兆円規模となり、28年3月期以降は年間1兆円以上となるとの見通しを示した。防衛関連が同社の業績拡大のドライバーとなるシナリオが改めて確認された格好となり、投資家の資金を引き寄せた。

 日本政府による防衛力整備計画の大幅な拡充により、事業規模が現状の5000億円規模から2倍以上になると想定する。同社は今後、事業拡大に向けて設備増強や研究開発に積極的に投資をする。

引用元:株探

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