実践投資研究所のチャート解説
株チャート分析と実践投資家の心理学CHART READING / ローソク足の基礎
ローソク足の基礎知識と読み方
実体とヒゲから、需給を考える。
形を覚えた。その先にある「なぜ、ここでこの足が出たのか」へ。四本値から参加者の立場を考え、次に確かめる条件までつなげます。
2009年7月30日付の原記事を改訂 | 改訂稿:2026年10月21日
「下ヒゲが出た。買いが入ったのだろう」。そう考えて買ったら、翌日から下がり始めた。ところが別の銘柄では、同じような下ヒゲの後に株価が上がっていく。
もし、足型の名前は覚えたのにチャートの前で迷うなら、次に身につけたいのは形を、出た場所と前後の値動きにつなげる読み方です。
下ヒゲを見つけられたなら、値動きの特徴には気づけています。そこから一歩進み、「何が起きた事実なのか」「どんな需給が考えられるか」「次に何を確かめるか」を分けてみてください。
この記事では、一本のローソク足の基礎から始め、最後に未来の見えないチャートを三つ読みます。読み終えたとき、自分の見方を言葉にして残せるようになることが目標です。
ローソク足は、一定期間の値動きの記録です。記録された事実を読み、需給の仮説を置き、次に確かめる条件を決める。この順番で進めます。
01 / BASIC
ローソク足とは。四つの価格を一本にまとめた記録
ローソク足は、一定期間の始値・高値・安値・終値をまとめて表したものです。この四つを「四本値」と呼びます。日足なら一日、週足なら一週間、月足なら一か月の値動きを一本にまとめます。
| 四本値 | 示しているもの |
|---|---|
| 始値 | その期間に最初に成立した価格 |
| 高値 | その期間に成立した最も高い価格 |
| 安値 | その期間に成立した最も低い価格 |
| 終値 | その期間に最後に成立した価格 |
陽線と陰線は、始値と終値の関係で決まる
終値が始値より高ければ陽線、低ければ陰線です。始値と終値を結ぶ四角い部分が「実体」。実体から高値までの線が「上ヒゲ」、安値までの線が「下ヒゲ」です。

陽線・陰線の色は、チャートサービスの設定によって違います。「赤だから上がった」と色だけで判断せず、まず設定と始値・終値の関係を確認しましょう。
陽線でも、前日より株価が下がることはある
前日の終値が1,100円だった銘柄が、翌日1,000円で始まり、1,040円で引けたとします。この日は始値より終値が高いので陽線です。一方、前日の終値からは60円下がっています。

陽線は「始値より高く引けた」という事実。前日からの変化や、上昇が続いているかどうかは、周りの足を見て確かめます。
同じ日足でも、確定前と確定後を分ける
取引時間中の日足は、まだ形が変わります。途中では大陽線でも、引けまでに売られて長い上ヒゲになることがあります。終値を使う条件を検証するなら、確定した足で判定するのか、途中の価格で判定するのかを先に決める必要があります。
週足は週の値動きをまとめたものです。日足で下ヒゲが出たことと、週足で下落が止まったことを同じ意味にしない。まず、自分が見ている足の期間を確認してください。
02 / COMPARISON
長い実体、長いヒゲ。何と比べて「長い」のか
始値から終値まで大きく上昇した足を大陽線、大きく下落した足を大陰線と呼びます。ただし、普段ほとんど動かない銘柄と、毎日大きく動く銘柄では、同じ値幅の意味が変わります。
まずは直前の足や、最近の値幅と比べてください。目立つ実体が出たなら、それまでと何が変わったのかを調べる入口になります。そこから出来高や材料、直前の高値安値との関係を確認します。
| 見える形 | 最初に確認する事実 | 続けて見ること |
|---|---|---|
| 大きな陽線 | 始値から終値までの上昇幅が、最近の足と比べて大きい | 高値の更新、出来高、上ヒゲ、直前の位置 |
| 大きな陰線 | 始値から終値までの下落幅が、最近の足と比べて大きい | 安値の更新、出来高、下ヒゲ、直前の位置 |
| 長い上ヒゲ | 高値が実体の上端から大きく離れている | 高値付近で終われなかったことと、過去の高値との関係 |
| 長い下ヒゲ | 安値が実体の下端から大きく離れている | 安値から離れて終えたことと、過去の安値との関係 |
| 実体が小さい・十字線 | 始値と終値が近い、または同じ | その間の値幅、直前の流れ、次の足 |
十字線は始値と終値が同じ形で、チャートや解説によっては近いものも含めて扱います。実体が小さくても、上下の値幅が小さいとは限りません。
一本の足から、値動きの順番は決められない
始値1,000円、高値1,100円、安値960円、終値1,060円。この四本値からは、先に高値をつけたか、先に安値をつけたかまでは分かりません。

ヒゲを見て「一度下がってから、必ず一方向に買い上がられた」と物語を決めつけないこと。途中経路が必要なら、より短い時間足や取引記録で確かめます。
03 / PARTICIPANTS
ローソク足から、参加者の立場を考える
株価が上がるのは、買う人の人数が売る人より多いから、と単純には説明できません。成立した売買には買い手と売り手の両方がいます。どの価格で取引を成立させようとする注文が出て、板のどの価格まで約定したかが値動きに関わります。
その結果として残ったローソク足を見て、参加者の立場を考えます。ここで大切なのは、見えている価格と、そこから考えた心理を分けることです。
長い陽線が出たとき、三つの立場から見る
たとえば、それまでの持ち合いを上へ抜ける大陽線が出た場面を考えます。
- すでに持っている人:含み益が増え、保有を続ける人も、利益を確定する人も考えられる。
- これから買いたい人:動き出したと見て参加する人も、高値づかみを避けて押しを待つ人も考えられる。
- 売りを考えている人:過去の高値付近で売りたい人や、売り建てを買い戻す人がいる可能性もある。
これは参加者の実際の気持ちを特定したものではなく、需給を考えるための仮説です。足の形だけから「好決算に反応した」「大口が買った」と原因まで確定することはできません。材料が出ていたのか、出来高が変わったのかを調べ、価格の動きと照合します。
考えた心理が正しいかどうかを、頭の中だけで決着させる必要はありません。「持ち合いの上で価格を保てるか」「再び範囲内に戻るか」。次の値動きで確かめる条件へ置き換えましょう。
04 / CONTEXT
同じ下ヒゲでも、出た場所で読み方が変わる
下ヒゲは、安値と実体の下端の間に価格差があることを示します。その期間の安値から離れた位置で取引を終えた。この事実を、直前の流れに置いて読みます。

下落後なら、「下げが止まるか」を確かめる
それまで安値を切り下げていたところで下ヒゲが出たなら、下落の勢いが変わる可能性を考えるきっかけになります。ただし、その一本で底を打ったと確定はできません。
たとえば、下ヒゲの安値を再び割るか、直前の高値を上回れるか、戻した価格帯を維持できるか。自分の手法と時間軸に合わせて、確認する条件を具体化します。
上昇後なら、「上昇の途中で何が起きたか」を確かめる
上昇してきたところに同じ下ヒゲが出た場合、そこまでの上昇に対して一時的に大きく売られた点も見ます。売りを受け止めて戻した可能性と、値動きが不安定になり始めた可能性の両方を置けます。
過去の高値付近なのか、上昇途中の持ち合いなのか。次の足は高値を更新するのか、安値を割るのか。足型の名前をつける前に、ここを確認します。
「安値圏」「高値圏」は、後から見つかった底値や天井で決めません。その時点ですでに見えている高値安値と、比較する期間を示して考えます。
05 / PATTERNS
一本から組み合わせへ。足型は前後の変化を整理する道具
二本、三本と組み合わせて見ると、値動きの変化を整理しやすくなります。最初に確認したいのが「はらみ線」です。
はらみ線は、前の実体の中に次の実体が収まる形
一般的には、一本目の比較的大きな実体の範囲内に、二本目の小さな実体が収まる組み合わせを指します。ここでは実体同士で判定し、ヒゲまで含めて収まるかは別に確認します。検証するときは、境界が同値の場合を含めるかも統一してください。

前の足に比べて値動きが小さくなったとしても、その後の方向はまだ決まりません。上昇中か下落中か、直前に何が起きたか、次にどちらへ範囲を広げるかと合わせて考えます。
気になる足型を、個別の解説で確かめる
三山や三尊のような形は、複数の足でできる値動き全体を見ます。一本の足の読み方を土台に、どの期間の変化を扱っているかを広げていきましょう。
06 / PROCESS
「上がりそう」で止めず、次の確認条件まで書く
ローソク足を読むときは、見た直後の結論を、次の四つに分けてみてください。
- 事実:四本値、直前の高値安値、実体やヒゲの関係。
- 仮説:その事実から、どんな需給の変化が考えられるか。
- 崩れる条件:どうなれば、その見方を続けられなくなるか。
- 次の確認:いつ、どの価格や値動きを見て判断を更新するか。
たとえば「下ヒゲだから上がりそう」を、「安値980円から戻し、1,040円で終えた。安値付近で売りを受け止めた可能性がある。980円を再び割るなら、この足を根拠に下げ止まりを考えた見方を見直す。次の足で直前の高値を超えられるかを確かめる」と書き直します。
ここまで書くと、次に見る場所が決まります。ただし、これだけで注文条件が完成したわけではありません。実際に参加するなら、買う条件、撤退条件、保有中の管理、数量と資金配分まで一続きで決めます。
チャートの解釈を、売買の命令に飛躍させない。「確認する」「見送る」「条件がそろったら参加を検討する」を、自分のルールで分けることが大切です。
07 / PRACTICE
未来を隠して、三つの図で練習する
次の図は、読み方を練習するための架空の日足です。右端の足は確定していますが、その翌日以降は示していません。どの図も、売買の正解を一つ選ぶ問題ではありません。
解説を開く前に、①見える事実、②考えられる需給、③見方が崩れる条件と次に確認することを一行ずつ書いてみてください。
EXERCISE 01
下落の後、右端に下ヒゲが出た

自分の答えを書いてから、解説を読む
事実:直前は下落しており、右端の足は980円まで下げた後、始値より高い1,040円で終えています。980円と1,020円の間が下ヒゲです。
仮説:安値付近で売りを受け止めた可能性を考えられます。一方、下落中の一時的な戻りという見方も残ります。
次の確認:980円を再び割るか、右端の高値1,050円や直前の高値1,090円を超えられるかを見ます。この下ヒゲ一本だけを根拠に底打ちとする見方は、980円割れで見直します。これらは観察の条件であり、そのまま売買注文を指示する数字ではありません。
EXERCISE 02
陽線が出た。前日からも上がっているか

自分の答えを書いてから、解説を読む
事実:右端は始値より40円高く終えた陽線です。一方、前日終値より60円低く、当日の高値も前日終値に届いていません。
仮説:寄付き後の戻りは一時的なもので、売りの圧力が残っている可能性を考えます。これとは逆に、安く始まった価格を買い手が見直し始めた可能性もあります。
崩れる条件と次の確認:この練習では、次の日足終値が前日終値1,100円を上回ったら、「前日終値を回復できない一時的な戻り」という見方を見直すことにします。まず当日高値1,060円、その後は1,100円との関係を確認します。下げて始まった理由を知りたい場合は開示なども調べ、ローソク足だけで材料を決めつけません。この価格条件は練習用に置いた仮説の確認条件です。
EXERCISE 03
大きな陰線の中に、小さな陽線が収まった

自分の答えを書いてから、解説を読む
事実:大きな陰線の後に小さな陽線が出て、その実体が前の実体の内側にあります。図5の「陰の陽はらみ」に当たる並びです。
仮説:大きく下げた後に値動きが縮まり、売りを受け止めて下落の勢いが弱まる可能性を考えます。上昇への転換が確定したわけではありません。
崩れる条件と次の確認:この練習では、二本の最安値980円を次の日足で割ったら、この二本を根拠に下げ止まりを考えた見方を見直します。一方、二本目の高値1,070円や一本目の高値1,120円を超えられるかも確認します。これらは仮説を確かめる条件であり、「はらみ線だから買う」という注文の条件ではありません。
答えが解説と同じ文章になる必要はありません。事実と自分の解釈が分かれ、次に見る条件が具体的になっているかを確かめてください。これが、次のチャートでも使える読み方の土台になります。
08 / QUESTIONS
ローソク足の読み方で、よくある疑問
陽線なら買い、陰線なら売りですか?
陽線・陰線は、始値と終値の関係を示します。売買するかどうかは、位置、直前の流れ、自分の参加条件、損失を引き受けられる数量まで確認して決めます。
長い下ヒゲは、上昇のサインですか?
下落が変わる可能性を考える材料になります。まず、安値から離れて終えた事実を読みます。そのうえで、出た場所と、その後の安値・高値の変化を確かめます。
ローソク足だけで、投資家の心理が分かりますか?
参加者の心理は仮説として考えます。誰が何を考えて取引したかを、一本の足から直接知ることはできません。価格、出来高、材料などの事実を追加して、見方を更新します。
足型を全部覚える必要はありますか?
まず四本値と、実体・ヒゲの関係を説明できるようにしてください。その後、自分が使う形から学び、位置と確認条件を一緒に記録すると、暗記した知識を判断に結びつけやすくなります。
知識を増やしても、実際には迷うのはなぜですか?
形の説明と、自分が取る行動の条件が分かれている可能性があります。読み取った事実の後に「どの条件を満たしたら参加するか」「どうなったら撤退するか」まで書き、実行後にその記録を検証してみてください。
09 / NEXT STEP
ローソク足を読む。その先に、自分の判断を持つ
株式投資では、買うときだけでなく、持ち続けるとき、売るときにも判断基準が必要です。ローソク足は、その判断を組み立てるための基礎になります。
私は、ローソク足を市場参加者の心理や需給を考える入口として扱います。そして、読めたことを理由に売買を急ぐのではなく、参加・維持・撤退の条件と資金管理へつなげていきます。
目指すのは、次の足型を見つけるたびに答えを探し回る状態から抜け出し、自分で確認し、決め、記録し、修正できる状態です。知識を増やしてきた時間を、ここから自分の判断に使ってください。